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判決後、原告の60代男性(手前)は「判決で一方的に『労働者ではない』とされ、看過できない」と話した=2025年1月30日、大阪市北区、大滝哲彰撮影

 大阪大学で非常勤講師として働いていた4人が、無期雇用への切り替えを求める権利があり、その後の雇い止めは無効だとして、大学側に地位確認などを求めた訴訟の判決が30日、大阪地裁(横田昌紀裁判長)であった。地裁は原告側の請求を棄却した。

 判決などによると、原告らは英語や日本語教育の授業を担当。半年から1年の委嘱契約を結び、更新を続けてきた。阪大は2022年4月、4人を有期の直接雇用に変更。23年3月、「契約は10年を超えることができない」として次の年度の契約を更新しなかった。

「教員と異なり、諾否の自由がある」

 判決は原告について「労働者である教員とは異なり、委嘱に係る授業以外の業務を義務として命じられることはなく、諾否の自由があることがうかがわれる」「業務遂行に当たり、厳密な勤務時間管理を受けていない」などと指摘。「各委嘱契約の締結時、原告らを労働者だったとは認められず、原告らの無期転換申し込みにより、無期雇用契約に転換したということはできない」「各委嘱契約が無期雇用契約への転換を認められないことから、各雇い止めが解雇に当たるとはいえず、無効とはいえない」とした。

 判決後、弁護団と原告2人が会見を開いた。原告の50代男性は「変更後も働き方は一切変わっていないし、同じように授業していた。不愉快だ」。鎌田幸夫弁護士も「労働の実態を見ない間違った判断だ」と批判し、控訴する方針を示した。

 大学側は「本学の主張が認められ、適切に判断されたものと受け止めている」とコメントした。

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